Securitize 2025年主要リリースダイジェスト(BUIDLの進化/商品拡充/Nasdaq上場計画/EU認可/上場株式のトークン化計画 ほか)

平素よりお世話になっております。Securitize Japan PR担当です。

本稿では、グローバルに展開するSecuritizeの2025年主要リリース(日本リリースは本稿からは省略)のダイジェストをお送りします。ぜひ、グローバルにおけるRWA/STの進化をキャッチアップいただければと思います。

2025年のSecuritizeは、BUIDLの進化、プロダクト拡充(VBILL/ACRED/STAC等)、Nasdaq上場計画、グローバル展開の強化(EUでの認可)、上場株式のトークン化計画等を進め、RWA/STの市場浸透を加速いたしました。

以下、ピックアップしたトピックの概要をご案内します。

BUIDLの進化

BlackRockとSecuritizeは、米国債等で運用されるBUIDLを2024年3月にローンチし、以降BUIDLは、パブリックチェーン上にポートフォリオを持つ投資家、事業体、DAO等に広く受け入れられてきました。その結果として、AUMは2025年3月に10億ドルを突破、同年4月には20億ドルを突破し、Tokenized Treasuries領域の躍進の牽引役となりました。

BUIDLを展開するブロックチェーンとしては、当初のEthereumのみから、Aptos / Arbitrum / Avalanche / Optimism / Polygon / Solana / BNB Chainと現在8種のチェーンに展開しており、また、Wormholeによるクロスチェーン移転も可能としています。

BUIDLに関しては、ステーブルコインへのオフランプとしてのスマートコントラクトについても発表しました。本スマートコントラクトにより、投資家は24/365いつでもBUIDLをRLUSD等のステーブルコインに同時交換することが可能となっています。

また、2025年11月には、世界最大級の暗号資産取引所であるBinanceにおいてBUIDLが担保資産として受け入れられることが発表されました。これにより、利回りを生むBUIDLへのエクスポージャーを維持しながらこれを担保にしたBinance上の取引が可能となり、投資家の資本効率を上げることを可能としました。

商品の拡充

VBILL:米国債×マルチチェーンのトークン化ファンド

2025年5月、VanEckはSecuritizeと提携し、米国債で裏付けられた初のトークン化ファンド「VBILL」をローンチしました。Avalanche、BNB Chain、Ethereum、Solanaに対応し、BUIDL同様、クロスチェーン対応、ステーブルコインへのオフランプが提供されます。VBILLは、レンディング系DeFi大手のAaveのRWAプラットフォームである「Aave Horizon」に対応しました。VBILLの保有投資家は、Aave Horizonを利用することで、VBILLの利回りを維持しながらHorizonに担保に差し出し、代替としてステーブルコインなどを借入ることが可能となります。これはRWA/セキュリティトークンとDeFiとの融合が実稼働したマイルストーンとなりました。

ACRED:私募クレジットのオンチェーン化

2025年4月、SecuritizeはApolloと提携し、企業向け直接融資や資産担保などに分散投資する私募クレジットへのオンチェーンアクセス「ACRED」をローンチしました。投資家資格確認やKYC/AML等のコンプライアンスを組み込んだ上で、複数チェーン(Ethereum / Solana / Polygon / Avalanche / Aptos / Ink / Sei)での提供や日次NAVなど、実務要件に即した運用体験を設計しています。さらにGauntlet/Morphoと連携したレバレッジ戦略の追加により、資本効率の最適化にも踏み込んでいます。

STAC:AAA格CLOを対象とする新ファンド

2025年10月、SecuritizeはBNYと連携し、AAA格のCLOに特化したトークン化ファンド「Securitize Tokenized AAA CLO Fund(STAC)」を発表しました。BNYが原資産のカストディアンを務め、BNY Investmentsがサブアドバイザーとして関与します。ストラクチャード・クレジット領域にトークン化の透明性・即時性・可搬性を取り込むことで、国債以外のクレジット資産におけるオンチェーン運用の裾野を広げ、機関投資家の分散・利回り追求を後押しします。

Nasdaq上場計画

2025年10月、SecuritizeはCantor Equity Partners IIとのSPAC統合を通じ、評価額12.5億ドルでNasdaq市場に上場し公開企業となる計画を公表いたしました。本公開企業化は開示・ガバナンスを一段と強化し、RWA/STの発行・管理を一気通貫で提供してきた垂直統合モデルに、資本市場からの信任が加わり、十分な資本を確保することで、事業拡大、顧客基盤の拡大、および主要な成長機会の実現を可能にします。

EU認可:TSS(取引・決済システム)で欧州展開へ

2025年11月、SecuritizeはEUにおいて、DLTパイロット制度の下でTSS(取引・決済システム)の規制認可を取得したと発表し、初期チェーン展開先としてAvalancheを選定しました。本認可により、Securitizeは米国とEUの双方でデジタル証券インフラを運営する唯一のライセンス取得企業となります。 

上場株式のトークン化計画について

2025年12月、Securitizeは、ネイティブにトークン化された上場株式について、規制に準拠したオンチェーン取引を2026年Q1に提供開始する方針であることを発表しました。

これは、近年の株式系トークンの実態であるカストディアンに対するIOU(借用証書)や価格連動トークンではありません。実体のある、規制対象のネイティブな株式です。オンチェーンで発行され、発行体のキャップテーブルに直接記録され、Web3系投資家には馴染みのあるWeb3のスワップ型UIで取引が可能となる予定です。

※本稿は、指定の参考リンク(securitize.io内の2025年プレスリリース)に基づき作成しています。各項目の詳細は原文をご確認ください。また、本稿はSTO等のデジタル証券の事例を研究する目的で作成されたもので、STOを含むいかなる金融商品ヘの投資を勧誘、アドバイスを提供するものではありません。